「リゾートのような刑務所」があるそうです。
知ったときはとてもショックを受けました。
これが刑務所?
ノルウェーのバストイにある刑務所。
島のほとんどが刑務所の施設になっています。
受刑者たちは木造住宅一棟につき6人が住んでいます。
個室が与えられ、床暖房付き。
壁にかけられた薄型テレビをベットに横たわって見ることもできます。
キッチンもありナイフなどを自由に使って調理することもできます。
施設内には図書館やフリークライミングができる壁、設備の整った音楽スタジオもあるようです。
バストイの刑務所は受刑者たちが更生し、社会の中で生きていけるようにという考えで作られました。
刑務所というと・・・檻があって、監視が厳しいイメージがあります。
受刑者たちが過ごす空間も清潔感がなく居心地も良くなさそう。
私はそんなふうに思っていました。
こんなに恵まれた刑務所で人々は更生することができるんでしょうか。
答えはイエス。
数字としてちゃんと結果が出ているそうです。
出所してからも普通の生活を送れている人の割合も、従来の刑務所よりも多いんだそう。
再犯率もとても低いそうです。
「希望の歴史」
私がこのことを知ったのは「希望の歴史」という本でした。
筆者は「ほとんどの人は、本質的にかなり善良だ」と説きます。
性悪説の根拠とされるような有名な心理学実験をいくつも検証し、その嘘を暴いていきます。
「人は本来優しくて、思いやりのあるものだ」ということを信じたい私には、とてもよい本でした。
しかも、長年心に重くのしかかっていた「どうして戦争で人を殺すことができるのだろう」という疑問にも答えてくれた!(これはデカイ)
この世界の未来は暗く語られることが多いけれど、実際はそんなにひどいことにはなっていない。
むしろ、徐々に良くなっている。
「ファクトフルネス」みたいだ。
ひとり感動しました。
人間関係のコツ
「希望の歴史」を読んで、自分の働き方について考えたことがありました。
「歴史」という大きなものから、私の日常生活へ。
ずいぶんと話が飛んでいます。
よかったら聞いてもらえるとうれしいです。
どこが印象に残っただろう、と考えて思い出したのはバストイの刑務所でした。
罪を犯した人ならば、懲らしめてやらなくてはならない。
悪い奴は檻に入れて監視をして、きつい労働などをさせて反省させなくては。
従来の刑務所にはそんな思想があるんだと思います。
そんな今までの刑務所と、バストイの刑務所は別世界です。
グーグル先生に聞いてみると、バストイの刑務所の画像も見ることができます。
見てみてびっくり。
とても美しいホテルのような施設です。
「リゾートのような刑務所」は本当でした。
本の中では バストイの刑務所長のこんな言葉があります。
「汚物のように扱えば、人は汚物になる。
人間として扱えば、人間らしく振舞うのです。」
私は、この言葉を読んで、はた、と職場を思い出しました。
最初に書いておきますが、みなさんよい方ばかりです。
私もとてもお世話になっていて、楽しく仕事をしています。
でも、それぞれに個性があります。
私も人間ですから、相手の言動に考えてしまうことが多々あります。
表には出さないようにしてますが、イライラしたり、考え込んでしまうこともしばしばでした。
「どうして〇〇さんはこんなことするんだろう」
「ここまで説明しないと分からないのかしら」
ただ、落ち着いて状況を確認すると私の方が勘違いをしていたこともありました。
お互いの言葉が理解できない時もありましたが、相手を受け入れつつ説明することで意思疎通ができることもわかってきました。
どうしたら、通じるだろう。
どうしたら、仕事をしてもらえるだろう。
考えたり、こちらの行動を工夫するのは大変手間がかかります。
それでも、試行錯誤をしているうちに段々とコミュニケーションできるようになってきました。
「あの人が悪い」
「あの人の能力が低いせいだ」
という前提で人と接するとその通りの振る舞いをされる。
でも。
「あの方のことだから、こう考えたのかもしれない。」
「私の言い方がわかりにくかったのかも。」
こう考えると、相手と対等な関係になれるのです。
しかも、お互いの得意を仕事の中で活かせるようになります。
相手を悪人と決めつけるのではなく、落としどころを探っていく。
どうしたら、仕事をしてもらえるのか。
お互い気持ちよく過ごせるのか。
そんなことを考えていくのは、やっぱりとても大切なんだと改めて思いました。
「希望の歴史」の壮大なテーマからは、程遠い。
ずいぶんと身近な例に落とし込んでしまって、なんだか申し訳ないような気もしますが。
本を読んで そんなふうに思いました。
「ファクトフルネス」を読んだ時も、ずいぶんびっくりしたけれど。
この「希望の歴史」もびっくりしました。
私たちは善良で、優しくて。
そして騙されやすいんですね。
そう思うことで、フツーのパート主婦の私にも。
何かできることがある気がしてきました。
それでは また☆
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