【過去記事】

毎日のご飯が居場所をつくる「そして、バトンは渡された」

瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」を読んだ。
一緒に住む親が、住まいがどんどん変わっていくお話し。
でも、私が一番印象に残ったのは父親の「森宮さん」との食事だった。

2018年 本屋大賞

本のとびらに貼られた帯には
「2018年本屋大賞」とあるから
ずいぶん前のことですね。

図書館でも、一度話題になった後
また予約が増えてると思ったけど。
映画化されたのね。

気になってはいたけれど、
予約してまで借りるほどでもなくて。
図書館の棚で見つけたのでかりてきたのでした。

4回も名字が変わる

4回も親が変わるって、どんなに大変だろう。
しかも、名前まで変わってしまうのだ。
どうして名前が変わったのか
同級生に説明しなくちゃならないし。
ちょっとしくじると、あの人、ちょっと特殊なのよね、という枠にくくられてしまいそうだ。
こわい。

私の親は離婚した時のも苗字を変えなかった。
いつも明るい母親はそういったことに一切触れなかったが
自分の体験をもとにした決断だったようだから
いろいろと苦労してきたのだろう。

母親なりの気遣いだったのかな、と思う。

主人公の優子ちゃんはまっすぐで
人の親切を受け止められる素直な子どもだけど
私だったらこんなふうではいられないという思いが読んでいて強かった。

森宮さんとのごはん

高校生の主人公と一緒に暮らしている森宮さんは
よく料理をつくる。

新学期にかつを入れるために朝からかつ丼を出したり。
主人公の優子が友達関係のことで悩んでいるときには餃子の毎日だった。

私が笑ってしまったのは試験の前日の夜食のことだ。

試験の前日、森宮さんがつくってくれた夜食はオムライスだった。
「洋食は夜食には重いけど、森宮さんの卵料理って大好き」
と机の上に置かれたオムライスを見た私は、「何これ」とぎょっとした。
オムライスには、ケチャップで「今日はよく寝て、本番に備えよう。合格できると信じてリラックスしながらがんばって!」と長々とメッセージが書かれていたのだ。
「ちょっと怖いんだけど」
「どうして?オムライスの上にケチャップで言葉書くのって定番じゃないの」
森宮さんはきょとんとした。
「それって、大好きとか名前とかせいぜい三文字程度でしょう?こんな小さい字でオムライス全面に言葉を書かれたんじゃ、赤だけにダイイングメッセージみたいでただただ怖い」
「そっか。道理でたいへんだったんだな。つまようじを駆使して描いたから、三十分はかかったよ」
そう言う森宮さんに、私は笑いが止まらなくなった

「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ著

森宮さんは夜食にオムライスを作ってくれる。
ただ、そこにはメッセージが書いてあって、それがだだ長いのだ。
優子はダイイングメッセージみたいで怖いという。
こんなところが森宮さんの「ちょっと変わったところ」で「ずれてるところ」なんだとおもうけど。

ダイイングメッセージで笑ってしまって。
職場の休憩時間に読んでいたのに。
肩が震えてしまった。
森宮さん、勘弁して~

でも、これを書いていて気がついた。
物語冒頭は森宮さんだったんだ。
ここで、繋がっていくのね。

料理をつくるって重労働

料理をつくるのって、大変だ。
昼ご飯が増える、学生のお子さんがいる親御さん方は十分に分かってらっしゃると思う。

物語の中では、森宮さんがご飯を作り一緒に食べる場面が多いのだが
主婦の私は「森宮さん、よくあれこれと作るなあ」と感心しっぱなしだった。

フルタイムで仕事をして帰ってくるのだ。
お惣菜尽くしでもいいぐらいだと思う。
それを毎日。
朝ごはんや夜食まで。
作っている。

父親だと言って、上からモノを言ったりするのではなく。
一緒に作ったものを食べる。
たわいのない会話をする。
毎日、そんな場所をつくる。
それを父親の役目だと森宮さんが考えたのだろう。

わが家のふつうの毎日



そんな、やり取りを読んでいて、私は主人との日常を思い出した。
くいしんぼう夫婦なので、食べてばっかりだ。
あれやこれやと買ってきては食べてみたり。
作ってみたりする。

料理は食べてしまえばお腹の中に消えてしまうし。
その時間は過ぎてしまうのだけれども。
実際には測れないけれど、積み重なった時間があって。
思い出があるのだ。

食卓を用意して一緒に食べる、そんなささやかな日常が
安心の場所をつくることにつながっている。

ついつい面倒になるけれど。
そして、この日のように主人の帰りが遅くて
夕飯がないと、「やったー」なんて思ってしまうけれども。

食事作りに精を出していた森宮さんを思い出して
こつこつと毎日を積み重ねていきたいものだ、なんて
家事への思いを新たにしました。

そうやって過ごした10年、20年、30年って。
きっとかけがえのないものだ。
なんて、思ってるけど。
実際どうなんだろう。
体験してみないと、わからないね。

それでは、また☆

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